ライトニング大島のブログ

こんにちは。ライトニング大島です。書評などをつらつらと。障がい、自閉症、音楽、ギター、アサラトなどを書いていきます。

キャンプ・デーヴィッド合意にかんして

CD合意分析の結論

 


CD合意は4度にわたる中東戦争の中における

アラブ・ナショナリズムの盛衰とイスラエル膨張主義に翻弄されて来たアラブ・イスラエル紛争(パレスチナ問題)の歪みを清算し、イスラエルとアラブの共存という形でパレスチナ問題を解決し、中東地域の包括的和平を目指し、サダトやカーターのイニシアチブによって合意、締結されたものであった。しかし、そこでパレスチナに認められたのは、「自治」であり、独立国家ではなかった。また「入植地拡大の定義」や「軍政の撤回」など、イスラエルにとって都合のいい解釈の余地があるような文言が織り交ぜられていた。

ヨルダン川西岸やガザ地区から5年まではイスラエル軍が撤退しないことを決定づけた。

また、ヨルダンなど、会議不参加のアラブ諸国の協力を前提としていたことも問題点であった。

そこにはサダトやカーターの思惑もあったが、CD合意の不明瞭な部分を上手く利用したイスラエルのベギン政権による策略によって、CD合意は中東地域の平和の枠組みはあまり機能せず、イスラエルにとって都合の良いエジプト・イスラエルの二国間和平のイチジクの葉として機能してしていくこととなった。

 


CD合意はアラブ戦線からのエジプトの離脱をもたらし、実質的にアラブ・ナショナリズムの終焉をもたらしたことで、「アラブ・イスラエル紛争のパレスチナ化」を決定づけた。これによって、パレスチナ自身の手でパレスチナの独立を勝ち取ろうとするパレスチナナショナリズムイスラム原理主義の動きを活性化させた。(パレスチナゲリラやインティファーダ、ハマースの誕生など)

しかし、それらがレバノン戦争や制裁と称した空爆などの口実を与えてしまい、隔離壁の構築や、さらなる入植地の拡大を許してしまい、パレスチナを取り巻く状況はより追い詰められることとなった。

 


国家間のみならず、非国家(plo.ハマース、ヒズボッラーなど)との関わりが始まったという点で、CD合意はパレスチナ問題の「世界化」を促したきっかけでもある。

あれだけイスラエルに対して「3つのノー」

の姿勢を示し、CD合意後、エジプトを裏切り者として阻害したアラブ諸国も、数年後にはイスラエルと国交を回復していくこととなった。CD合意締結直後にエジプト阻害ではなく、アラブ・ナショナリズムを正しく発揮し、イスラエルとの共存を測りながら、パレスチナホームランド設立支援を模索することができていたらまた状況は変わっていたのかもしれない。

 


イスラエルの膨張を止められたかもしれない←これは分からん

 

 

 

もちろん私も圧倒的にアラブ側に正義があったと考えるが、イスラエルとの妥協案を頑なに拒み続けた姿勢がパレスチナにはさらなる悲劇をもたらすこととなったと考える。

 


現在対イラン体制を考える会議でイスラエルアラブ諸国アメリカが集まっており、中東地域は大きな転換点を迎えていると報道されている。

イスラエルが対アラブ融和策を取っており、それを甘んじて受け入れているアラブに対して、パレスチナ人は私たちを裏切ったというような主張をしているが、これは今に始まったことではなく、今回のCD合意からもうすでにアラブ・ナショナリズムは崩壊しているのだと考えられる。